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ボランテイアをする時の注意点

東北・関東の被災地で支援活動をする際の注意点についてご説明します。先日、クラッシュのボランティア活動の講演会に参加したのですが、その中から、被災地に支援に行こうと考えているろう者の方に、心構えや準備等に関していくつか注意点をお伝えしたいと思います。

被災地では、ろう者が情報を入手するのはとても困難です。停電の影響もありテレビやインターネットが使用できず、情報源がありません。聴者は、ラジオから情報を得ることができますが、ろう者はそれができないためなかなか情報が得られず困っています。そのように困っているろう者を助けたいという気持ちは分かりますが、支援に行く時には注意点があります。まず、自分の食糧や身の回りの準備をきちんとしていく必要があります。被災地へ食料を届けに行き、その食料を一緒に食べてしまっては意味がありません。自分の食糧は事前に準備し、支援物資とはきちんと区別する必要があります。また、災害の際に使われる簡易トイレがありますが、それらは被災者のために作られたものです。多くの支援者が、被災者と一緒になりそのトイレを使用した場合は、長蛇の列ができ被災者の迷惑になります。きちんとマナーを守り、思慮分別のある行動をとり、被災者の迷惑にならないことが大切です。

食糧や支援物資を受け取った被災者の方は、もちろん感謝の気持ちを持つと思います。しかし、支援者側の思いだけで身勝手な支援をすると、感謝どころか、ありがた迷惑になってしまうこともあります。したがって、状況をしっかり観察し、被災者の意見を聞きながら、必要な支援と必要でないものの判断をきちんとすることが大切です。

もう一つの注意点は、自分の体調管理と休息です。被災者の支援に全力を尽くしすぎて、自分が体調を崩してしまったり、倒れてしまったりする例があるそうです。講演の中では、アメリカの9.11テロ事件の際の実際の例がいくつか紹介されました。消防隊や医者、支援関係者の方は、被害者の支援を休む間もなく毎日続けます。被害者の方は心身ともに弱っている状態であり、その人たちと毎日接していると、被害者の心理状態を取り込んでしまい、支援者側も気持が落ち込みネガティブな心理状態になります。訓練を受けている消防士の中でさえも、当時、自殺が頻繁したと聞き、大変驚きました。このような状態になる原因としては、支援に没頭するあまり、自分自身の体調管理を怠り、力を使い果たしてしまうということが挙げられます。支援をしつつも、きちんと休憩・休息をとることが大切です。疲れた時や自分の体に限界を感じた時は、断る勇気も必要です。自分ひとりで全て背負うのではなく、複数の人で交代しながら、それぞれがきちんと休息し力を蓄えることが大切です。被害者・被災者の心理状態を取り込んでしまい、体調を崩してしまったり、気持が落ち込んでしまうことを2次的トラウマと言うそうです。そうならないよう支援者側も注意が必要だということです。講演会からしばらくした時の新聞にも、講演内容と同じように「支援側もきちんと休憩するように」と日本福祉協会が注意を促している記事が載っていました。ろう者の皆さんの支援をしたいという気持ちは分かりますが、支援に没頭しすぎて、自分の心身状態をないがしろにしないように注意してください。

地震発生直後は、どのテレビ局も震災情報を放送していました。台湾でさえも、全てのテレビ局が日本の地震情報について放送していると聞き、驚きました。世界各地で日本の状況に注目している状態だったと思います。講演会では、テレビで被災情報ばかり見すぎていると、実際には地震ではないのに体が揺れているような感覚になったり、気持ちが落ち着かず常に身構えている状態になったりと、2次的トラウマの原因になりえるとのお話でした。テレビはあまり見すぎないようにし、ある程度の時間を決めて震災情報を得るぐらいにし、その他の時間は日常の生活を楽しむことが大切だとのことでした。この講演会の内容と同じことが、また新聞にも掲載されていました。母親と幼い子供が、震災関連のテレビばかり見ていたところ、子供が常におびえて母親からひと時も離れなくなり、常になだめていないといけない状態になってしまったそうです。震災の情報は大切ですが、あまり執着し過ぎずに、仕事や友達と楽しんだりと普段の生活を続けてください。また、震災現場を見に行こうと考えている方もいるかもしれませんが、面白半分な気持ちで見に行くのは止めてください。支援したいという気持ち、またお悔みの気持ちを持って短時間訪問するなど、常識的に判断して行動してください。